書評:国内外の政治のお話を中心に『物語 タイの歴史 微笑みの国の真実』

『物語 タイの歴史 微笑みの国の真実』
柿崎一郎 著
中央公論新社 2007年

一三世紀以降、現在の領域に南下し、スコータイ、アユッタヤーといった王朝を経て、一八世紀に現王制が成立したタイ。西欧列強の進出のなか、東南アジアで唯一独立を守り、第二次世界大戦では日本と同盟を組みながらも、「敗戦国」として扱われず、世渡りの上手さを見せてきた。本書は、ベトナム、ビルマなどの周辺諸国、英、仏、日本などの大国に翻弄されながらも生き残った、タイ民族二〇〇〇年の軌跡を描くものである。

中央公論新書 作品紹介より
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2007/09/101913.html

タイの国の成り立ちって知らないなぁ、スコータイとか、アユタヤとか名前は知ってるけど、それからどうやってバンコクに都が移ってきたんだろう。王室は、中華系はいつごろから登場するのだろうなんことを知りたくて手にとった一冊。

新書は苦手なので、スコータイに行く時にスコータイの章だけ読んだきり、ずっと本棚で眠っていたけど、ようやく読了。

本書は、国際関係におけるタイの歴史に焦点を当てており、古くはタイ周辺地域の歴史、近代においては国際社会でのタイの「世渡り上手」な外交手腕について詳しく書かれています。そして最後に戦後から出版年である2007年まで、タイの内政を軸にしながら、共産主義との攻防や周辺諸国との関係に触れています。
どうやって仏教が広まったのか、シルク産業がどのようにして始まったのかとか期待してたけどそういうのじゃない。


東南アジアの歴史は今まで全く勉強したことがなかったので、難しかったけど面白かった。
マンダラ型国家という形で地域がまとめられていたとか、400年の歴史をもつアユタヤは実は2回陥落していて、1回目の陥落のあとはビルマの属国になっていたとか。そういえばアユタヤに行った時に仏像の頭が全部取られてて、全部ビルマ軍に取られたって説明聞いたなぁなんて思い出したりした。


第二次世界大戦中の日本とタイの過去の関係を全く知らずに、タイは親日だと思っていたのは恥ずかしい。今現在においてタイが親日国であるのは変わりないかもしれないけど、タイと深く関わるならばこういった歴史は知っておくべきだなと思った。

昔から政治闘争が頻繁に起こって落ち着かない国だな、と改めて感じる。大昔から毎回それに付き合って鍛えられてるからタイ人って柔軟でしたたかなのかなぁと思う。
「世渡り上手」なくだりはちゃっかり感があって若干いらっとした笑。

タイの歴史を深く知るにあたってはミャンマー、カンボジア、ラオスといった隣接国の歴史も知らないといけないんだろうな、と思う。
ちなみに、本書では南のマレーシア領域の話はあまり出てこなかったけど、現在も続く南部3県の問題について解説があって納得した。南部のマレー系の住民は仏教徒のタイ族による支配を良しとしない人もいるらしい。

カタカナの固有名詞が多く、読み始めはなかなか進まなかった。でも、あの地名って人の名前だったんだー、こんなことしてたのね〜とか発見がある。
歴史好きじゃないと身近でない国の歴史を追うのは固有名詞とか、地名とかに手こずってなかなか大変だな〜。

タイには「4大女傑」がいるっていうのが収穫。気になる!



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